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serum uromodulin measurement

血中ウロモジュリン

血中ウロモジュリン測定に興味を持っていただきありがとうございます。

血中ウロモジュリン測定はこれまでにない腎臓評価を提案する新しい検査です。クレアチニンやシスタチンCのような糸球体ろ過量(GFR)や残腎機能を推定する検査ではなく、機能ネフロン量を反映し、腎予備力(renal reserve)を評価します。

日本において、ウロモジュリンはとてもマイナーで名称自体を知らない医師の方が多いかもしれません。しかし、1950年に初めて報告されてから75年に及ぶ歴史を持つ蛋白質であり、関連論文数は実に約2,000本にのぼります。科学的根拠は豊富であり臨床応用への大きなポテンシャルを持つバイオマーカーです。ここではウロモジュリンの基礎から臨床応用までわかりやすく紹介します。

弊社で使用している血中ウロモジュリン測定ELISAキットは弊社代表臼井亮介が研究開発したオリジナル製品です。現在、血中ウロモジュリン測定ELISAキットは複数の国で製造・販売されていますが、2026年7月時点で国内製品は弊社開発品のみです。

血中ウロモジュリン:時を刻む検査
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血中ウロモジュリンの特徴

・機能ネフロン量(functioning nephron mass)を評価する新しい概念

・腎臓の予備力(renal reserve)や生命力を見える化

・定期測定により、加齢変化を数値評価(エイジング評価検査)

・急性間質性腎炎や尿細管障害の診断補助マーカー(血液検査では初)

・ハードエンドポイント寄与マーカーとしての多数のエビデンス

機能ネフロン量を評価するという新しい概念

ウロモジュリンは尿細管上皮細胞でのみ産生さる臓器特異性の極めて高いタンパク質です。そのほぼ全量が尿中に排泄されますが、ごく一部が血中に移行します。血中ウロモジュリン濃度とeGFR値は高い正の相関関係(r=0.8~0.9)を持つことが複数の研究で報告されています(下図参照)。ただし、ウロモジュリンの分子量は約85kDaと大きく、糸球体フィルターを通過しないため、本来は糸球体ろ過量(GFR)の直接的な指標とはなりません。そのため、ウロモジュリン研究者の間では、「血中ウロモジュリンは機能ネフロン量を反映する指標」という共通認識が広がっています。

機能ネフロン量(functioning nephron mass)とは、腎臓で尿を生成・ろ過する最小単位である「ネフロン」のうち、実際に働いている数(機能的質量)を指します。健康な成人は左右の腎臓にそれぞれ100万個、計200万個のネフロンを持つとされていますが、近年の研究により、実はこの数には30~50%以上の個体差があることが知られるようになりました。

 

そして、加齢や高血圧症、糖尿病、慢性腎臓病(CKD)により減少し、機能を失ったネフロンが回復することはありません。機能ネフロン量の低下は残存するネフロンの過重労働(糸球体過剰ろ過)を招き、さらなる腎機能低下の悪循環につながるため、その維持が腎不全予防に大変重要と考えられています。現在、ネフロン数を調べる検査方法は確立していませんが、血中ウロモジュリンは機能ネフロン量を反映する検査として期待されています。

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腎臓の予備力(renal reserve)や生命力を見える化

クレアチニンとシスタチンCはいわゆる腎機能である糸球体ろ過量(GFR)の低下をスクリーニングする検査ですから、これらが正常範囲内にあっても腎臓が健康であるとは限りません。一方、血中ウロモジュリンは、腎臓の“予備力”を評価する指標です。つまり、可能な限り若く健常な時点での初期値を確認することで、その後の人生のどの地点においても腎臓の健全性や生命力を数値で“見える化”することが可能になります。

近年のネフロン数に関する研究では、日本人のネフロン数は欧米人よりも30%以上少ないことが報告されたり、早産児や低出生体重児ではネフロンの成熟に影響が及ぶことでネフロン数が少ないことも報告されています。未来の医療では個々のネフロン数や機能ネフロン量に応じた生活指導や治療戦略が重要になる可能性が十分に考えられると思います。

さて、透析導入の目安はGFR10未満ですが、ウロモジュリンではどうでしょうか。これまでの知見では、ウロモジュリン50ng/mL以上で透析導入となった症例は一例もなく、40ng/mLを下回ったら1年以内に全例が透析導入となりました。逆に言えば、クレアチニン値が多少高くとも、50ng/mL未満まで低下しなければ透析は要しません。

腎臓の加齢変化(エイジング)を評価

腎機能は年齢とともに緩やかに低下していきます。血中ウロモジュリン濃度は若く健康なときに最も高く、加齢とともに徐々に低下していきます。一般的に、臓器の老化は年間0.5%程度とされていますが、現実的には老化速度は一人一人異なるものです。そして、いまや数千もの検体検査が行える時代ですが、臓器機能を反映し、若く健康なときに検査値が高く、加齢に伴って低下する検査項目はほとんどありません。

医学研究において、慢性腎臓病は老化加速モデルと認識されていることからも、腎臓は老化に大きな関わりを持っています。ウロモジュリンによって腎臓の加齢変化(エイジング)を定期的に、かつ、定量的にモニタリングすることで、治療戦略の立案やアンチエイジングの取り組みの指標として活用することが期待されます。

急性間質性腎炎や尿細管障害の診断補助マーカー

(血液検査では初)

急性腎障害(AKI)は発生頻度が高く、後遺症や再発のリスクも高い重要な病態です。薬剤が原因となるAKIである薬剤性腎障害は、ポリファーマシー(多剤服用)が進む現代医療において避けがたく、特に注意を要する課題となっています。

薬剤性腎障害の中でも、急性間質性腎炎や尿細管障害は、たとえ腎臓専門医であっても診断が難しいことで有名です。2024年から2025年にかけて社会問題となった紅麹サプリメントによる腎障害の多くが、後の詳細な検討により急性間質性腎炎であったことが明らかになりました。この事例では、同サプリメントによる数名の薬剤性腎障害が報告されたことをきっかけに、多くの利用者が医療機関を受診し、最終的に約2,000名に及ぶ被害が確認されました。

 

注目すべきは、急性腎障害という緊急性の高い病態であるにもかかわらず、受診時点でほとんどの患者が無症状であり、すでに通院中であった方も少なくなかったことです。これは、間質性腎炎型の薬剤性腎障害は、利用者自身が気づかないだけでなく、医師であっても積極的に疑わない限り容易に見逃しうることを改めて認識させられます。

従来の尿細管障害マーカー(α1-MG、β2-MG、NAG、L-FABP、NGALなど)は、感度・特異度の点で限界があり、日常診療におけるAKIの病態把握・鑑別診断には必ずしも有用とは言えません。こうした中、私たちは急性間質性腎炎や尿細管障害の病態において、血中ウロモジュリン濃度が急上昇することを報告しました(Usui R et al. Case Rep Nephrol Dial)。これは、血液検査として初めて、これらの病態に対する診断補助マーカーとなる可能性を示す重要な知見です。ウロモジュリンの定期測定により、もっとも避けるべき薬害のひとつ、急性間質性腎炎の早期発見が叶うかもしれません。

ハードエンドポイント寄与マーカーとしてのエビデンス

同じ年齢で、同様の基礎疾患と同程度の腎機能を持つ患者さんであっても、実際の臨床経過や生命予後はまったく異なります。また、慢性腎臓病(CKD)は、透析ばかりが注目されがちですが、透析導入よりも前に合併症をきっかけとして死亡する症例が圧倒的に多いことは周知の事実です。こういったeGFR値だけでは見えない個体差は腎予備力でより詳細に層別化できるかもしれません。


2017年に発表された研究では、心臓カテーテル検査を受けた患者を対象に、血中ウロモジュリン濃度と死亡率の関連が解析され、濃度が低い群で有意に予後が悪いことが示されました。注目すべきは、この結果がeGFRで調整した後でも有意だった点です。このように、血中ウロモジュリンは生命予後を予測する“ハードエンドポイント寄与マーカー”としての可能性を秘めています。同様の論文は多数ありますのでぜひ手に取ってご参照ください。

■ コラム・・・コラムもぜひご参照ください。

ウロモジュリン

​・ウロモジュリン - 医療従事者向け

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