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eGFR60未満は慢性腎臓病ですか?

  • 執筆者の写真: 臼井亮介
    臼井亮介
  • 1月16日
  • 読了時間: 4分

更新日:3月14日


 こんにちは。株式会社レノプロテクト代表の臼井亮介(日本腎臓学会専門医・指導医)です。

 今回は、多くの方が一度は気になる「eGFRが60を下回ると慢性腎臓病なのか?」という疑問についてお話しします。この問いは一見シンプルに見えますが、長い間モヤモヤを抱えたままの方も少なくありません。ネットや書籍で情報は手に入るのに、なぜかスッキリしない——。このコラムが、そんなモヤモヤを少しでも晴らす手助けになれば幸いです。それでは、よろしくお願いします。

eGFR60未満は慢性腎臓病ですか?
eGFR60未満はCKD?

  「eGFR60未満が3か月以上」=慢性腎臓病、ではない?


 慢性腎臓病(CKD)の診断基準には、「GFRが60未満(mL/min/1.73㎡)の状態が3か月以上続くこと」と明記されています。この定義だけを見ると、たとえば次のようなケースが当てはまりそうに思えます:


4月の健康診断でeGFRが55(C判定)、7月の再検査でもeGFRが55

→ eGFR60未満が3か月以上だから慢性腎臓病?

昨年の健康診断でC判定、今年もC判定

eGFR60未満が3か月以上だから慢性腎臓病?


 しかし、実はどちらのケースも、そのままでは慢性腎臓病と診断されたことにはなりません。なぜなら、診断にはもう一つ大切な要素があるからです。



  健康診断や人間ドックでは「診断」は確定しない


 健康診断や人間ドックは、病気の可能性を見つけるための場であって、診断を確定させる場ではありません。たとえeGFRが60未満であっても、そこで診断が決まることはないのです。これは、健康診断の制度上のルールによるものです。そのため、異常値が出た場合には、精密検査・再検査の必要性を含めて、診断の確定あるいは否定を行うために医療機関を受診するように指示されます(これがC判定もしくはD判定です)。


 健康診断や人間ドックで腎臓に異常を指摘されても、その後に病院を受診しなければ診断は確定しませんし、疑いが晴れることもありません。ここは重要なポイントですので押さえておいてください。


 なお、通常の健康診断では、検査の前に医師との対面診察があります。毎年同じ医療機関で受診していて、数年にわたりeGFR<60が続いている場合は、健診担当医師の裁量で診断に言及されることもあります。



  診断は医師の独占業務


 「病気の診断は医師にしかできない」ということをご存じでしょうか?これは法律で定められた「独占業務」であり、医師以外が診断を行うことは禁じられています。たとえば、病院で看護師や技師と話しているときに、病名や治療方針についての話題になると、急に言葉を濁された経験はありませんか?それは、彼らが診断を下したり、診断について判断したりできる立場にないからです。


 一方で、親切な医師の中には、患者さんの不安を和らげるために、診断名を伝えるタイミングを慎重に見極める方もいます。その結果、「腎機能が少し低めですね」「この程度ならまずは経過を見ていきましょう」などと診断基準を満たす結果であったとしても、あえて診断名を避けた表現にとどめることがあります。こうした配慮がかえって患者さんを戸惑わせたり、自分は腎臓病じゃないんだと認識を誤ってしまうこともあります。


 なお、株式会社レノプロテクトの腎ドックでは腎臓専門医が個別コメントを書いていますが、健康診断や人間ドックに準じ、診断を確定させる文言は使用していません。その代わりに、「慢性腎臓病の診断基準に該当します」といった表現を用いています。



  結論:モヤモヤを晴らす一番の近道は?


 「eGFR60未満は慢性腎臓病ですか?」という問いは、診断に関する質問です。ネット検索や他人の意見では、もっとも核心的な疑問である「自分自身が慢性腎臓病なのか?」という問いに対する最終的な答えにはたどり着けません。どれだけ調べても、どれだけ人に聞いても、医師の診断がなければ確定にはならないのです。情報収集はとても大切ですが、ある程度調べたら、思い切って医師に相談してみましょう。モヤモヤを抱えたまま時間を過ごすよりも、医師に単刀直入に聞くことが、最短で最も確実です。



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