血尿
- 臼井亮介
- 9月18日
- 読了時間: 2分
株式会社レノプロテクト代表の臼井亮介です(日本腎臓学会専門医・指導医)。
尿検査でわかるもので重要なのは尿蛋白と血尿です。ここでは血尿(尿潜血陽性)について分かりやすく解説していきます。
●尿潜血(定性)・沈渣
尿に血液が混じっていないかを調べる検査です。健康診断受診者の5~10%に血尿(尿潜血陽性)が見られ、比較的よくある検査異常のひとつです。ほとんどの血尿は目で見てわかることはありません。
血液中の赤血球が腎臓のフィルター(糸球体)をすり抜けて尿中に出てくると、尿潜血が陽性になります。ただし、血尿の原因は腎臓だけではありません。尿路感染症、尿路結石、膀胱や前立腺の腫瘍など、泌尿器系の疾患によるものが多く、むしろ腎臓以外の原因の方が一般的です。
軽微な血尿では、病院を受診しても原因が特定できないこともあります。しかし、膀胱がん・腎臓がん・前立腺がんなどの泌尿器系の悪性腫瘍が背景にあることもあるため、たとえ軽微であっても、自覚症状がなくても再検査や精密検査を受けることが重要です。
●肉眼的血尿
肉眼的血尿とは、検査を受けるまでもなく、目で見て分かるほど尿が赤く染まる状態を指します。尿路系の疾患が原因となる場合と、腎臓病が原因となる場合で、色調が大きく異なることも特徴です。前者の場合は、いわゆる血の色である「真っ赤」や「薄いピンク」、後者の場合には「コーラ色」や「褐色」になります。
◆ 尿路系の代表的な疾患
尿路感染症(膀胱炎など)
尿路結石
腫瘍(膀胱がん・腎がん・前立腺がんなど)
外傷や手術後の出血
◆ 腎臓病
IgA腎症
急性糸球体腎炎
●内科疾患としての血尿:IgA腎症に注意
血尿が腎臓由来である場合、特に注意すべき疾患のひとつがIgA腎症です。若年層に多く、初期はごく軽度の血尿しか見られないため、見過ごされがちです。しかし、時間の経過とともに尿蛋白が出現し、腎機能が徐々に低下することがあります。腎生検という入院を要する検査でしか診断がつかないこともあり、尿検査異常が軽度なうちは「様子を見ましょう」と言われることも多く、この経過観察中に悪化するケースも少なくありません。
株式会社レノプロテクトの腎ドックでは、尿所見からIgA腎症が疑われる場合、無料の追加検査「腎ドック・アドバンス」をご案内しています。ご希望の方には、IgA腎症の診断補助となるGd-IgA1検査も実施しています。詳しくは、こちらのコラムもぜひご覧ください。
