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尿素窒素(BUN)

  • 執筆者の写真: 臼井亮介
    臼井亮介
  • 2024年1月1日
  • 読了時間: 4分

更新日:5月18日


 こんにちは。株式会社レノプロテクト代表の臼井亮介です(日本腎臓学会専門医・指導医)。

 尿素窒素(BUN: Blood Urea Nitrogen)は、検査を受けるとほぼ毎回チェックされるのに、医師から詳しい結果説明を受ける機会が少ない、もしくは、まったく説明を受けたことがないかもしれない、そんな不思議な検査です。

 腎臓の検査ということはご存じの方が多いでしょう。それでも、この検査値が上がっても下がっても腎機能との関連性について言及されることはほぼないと思います。他方、実は腎臓以外の疾患や、栄養状態、全身状態を知るヒントになる大切な指標でもあります。


 ここでは主に「健康診断で尿素窒素が高いと指摘された方」を対象として、「腎臓検査としての尿素窒素」についてわかりやすく解説していきます。

(更新:2026年5月17日)



尿素窒素(BUN)の正体は「タンパク質の燃えカス」


 尿素窒素を一言でいえば、「体内でタンパク質が使われた後に出るゴミ(燃えカス)」です。


 もう少し詳しく説明しましょう。


 私たちの体をつくるタンパク質は、日々新しく作り替えられています。その過程で生じる有害な「アンモニア」を、肝臓が害のない「尿素」へと作り替え、最終的に腎臓が尿として排泄します。この尿素に含まれる窒素の量を測ったものが尿素窒素(BUN)です。



なぜ「尿素窒素が高い=腎臓が悪い」と言い切れないのか?


 腎機能が落ちれば、ゴミ(尿素)を捨てられなくなるため、尿素窒素は上がります。しかし、腎機能評価において、尿素窒素には「2つの弱点」があります。


  1. ブラインド領域が広すぎる(腎機能がかなり落ちないと数値が上がらない)

    尿素窒素は、腎機能がかなり低下しないと数値が上がってこない性質があります(機能が低下してもこれを検出できない検査限界をブラインド領域と呼びます)。

    シスタチンC:腎機能が約20%低下した段階で数値上昇

    クレアチニン:腎機能が約50%低下した段階で数値上昇

    尿素窒素:腎機能が70%近く低下してはじめて数値上昇

    (✅ウロモジュリン:ブラインド領域という概念がない)

    つまり、初期の腎機能低下の検出感度は極めて低く、このためのスクリーニング検査として実施する意味はほとんどありません。


  2. 腎臓以外の影響を「受けすぎる」

    尿素窒素は、「ゴミの排泄(腎臓)」だけでなく、「ゴミの出る量(食事や体調)」によっても大きく変動します。

  ✅数値が高くなる主な要因

   肉や魚をたくさん食べた時、脱水、

   消化管出血、激しい運動後、高齢者、

   ステロイドや利尿剤の使用など

  ✅数値が低くなる主な要因

   極端な低タンパク食、妊娠、肝機能低下、

   小児など

 

 通常、尿素窒素はクレアチニンの10~15倍に収まります。しかし、腎機能以外に、食事、体内水分バランス、運動習慣や年齢などの影響を受けやすく、尿素窒素単独で腎臓の働きを推定することはまずありません



それでも尿素窒素を測る理由──FeUNという指標


 では、なぜ腎ドックで尿素窒素を測るのでしょうか?

 その理由は、FeUN(尿素窒素排泄率)という指標にあります。


 これは「腎臓がどれくらい効率よく尿素を捨てられているか」を割り出し、体内の水分バランス(脱水状態)を評価する指標です。


 腎ドックは、健康診断や人間ドックのオプションとして実施されることが多く、当日は食事や水分を控えた状態で臨むため、軽い脱水状態にある方が多くなります。脱水状態では血液が濃くなり、クレアチニンの値が「見かけ上」高く出てしまい、本当は病気ではないのに「要再検査」と判定されるケースが頻発しやすいのです。


 FeUN値を確認することで、脱水の影響を見極めやすくなり、クレアチニン値とeGFR値の解釈の精度(過剰診断が生じているかどうか)を高めることができます。



  尿素窒素が高かった方へ


 健康診断や人間ドックでは軽い脱水状態で受けることが多く、測定値が高めに出やすいです。上記の通り、基準値を若干超える程度や、多少高く見えるぐらいでは、腎機能評価検査としてはほとんど意味はありません。一方で、同時にクレアチニン値が若干高め、eGFR値が若干低めであった場合は、十分に水分摂取した状態で再検査を受けてみてください。


 また、検査前数日以内に『肉料理を多めに食べなかったか』『激しい運動をしなかったか』などを振り返ってみてください。ただし、そのような心当たりがあったとしても、肉料理を減らす、運動習慣を辞める、といったことをする必要はありません。


 *自己判断は重要な病気のサインを見逃す懸念もありますので、異常値を指摘された場合には医師に相談することが大切です。



関連リンク


 ブラインド領域について詳しく知りたい方は、「クレアチニン」のコラムをご確認ください。「加齢とネフロン喪失」のコラムもイメージがつきやすくなります。

 ブラインド領域という概念がないことを特徴とする「ウロモジュリン」もぜひチェックしてみてください。



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