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臼井亮介

腎機能とは

更新日:10月3日


 腎臓の仕事は多岐にわたります。老廃物を尿として排泄するだけでなく、電解質や酸塩基平衡の調整・血圧の調整・活性型ビタミンDの産生・造血ホルモンの産生等の働きをしています。

 ここでは、いわゆる腎機能についてお話していきます。


 腎機能(糸球体ろ過量GFR)は、毎分あたりの腎糸球体を通過した血液量と生理学的に定義されています。腎機能測定には、実測腎機能検査(実際に測定してみる方法)と腎機能推定マーカー(実際の腎機能を推定してみる方法)の2種類があります。

 実は、日常臨床において直接的に腎機能を測定することはほぼ行われていません。現在の保険診療で真の腎機能を測定するにはイヌリン・クリアランスという検査が必要です。しかし、この検査では薬剤の点滴投与をしながら頻回に採血や採尿をする必要があり煩雑で、さらに検査費が高いため、行える医療施設はほとんどありません。腎臓専門医がいる病院でもまず行っていません(検査実績がないだけでなく、検査方法を知らない腎臓専門医が過半数以上と思います)。それに対して、クレアチニン・クリアランスという方法は蓄尿を要するもののイヌリン・クリアランスよりは簡易的に行える検査です。しかし、クレアチニン・クリアランスは現在保険収載から外れており、腎機能を測定する目的で検査をすることができません(他の理由をつけて検査することは可能です)。また、クレアチニン・クリアランス値は、真の腎機能よりも2~3割程度高くなり、腎不全患者では最大で真の腎機能の倍程度まで高くなるので、腎機能を過大評価してしまう欠点もあります。それであっても、現在の臨床では推定値(eGFR)でしか判断されない中で、実際に測定してみることのメリットは大きいでしょう。

 診療の場面で正しい腎機能がわかりませんでは困りますから、それに近しいデータが必要とされます。そこで登場してくるのが、腎機能推定マーカーであるクレアチニンやシスタチンCです。これらは、腎機能が悪いと血液中に残るため、その性質を利用して腎機能を推定します。ですが、クレアチニンもシスタチンCも腎臓自体と関係がない物質であり、これらの血液中濃度だけでは意味をなしません。そこで、それらの血中濃度からGFR値の近似値を出すために計算式を用いておおよその腎機能を算出しています。これが推算糸球体ろ過量(eGFR)です。最も汎用されているクレアチニン換算eGFR値の正確度は、75%の人が実測GFR±30%の範囲に入る程度とされています(そこそこ誤差があることが分かると思います)。

 真の腎機能であるイヌリン・クリアランス値に近いデータを得るために、様々な工夫がなされていますが、より確かな情報を得るためには複数の指標で評価することが望ましいと言えるでしょう。弊社腎ドックでは、腎機能推定検査としてクレアチニン・シスタチンC・ウロモジュリンの3つを基本とし、オプション検査として実測腎機能検査クレアチニン・クリアランス検査も​行えます。

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